
GA4を開けば、Direct・Organic Search・Paid Searchといったチャネル別の数字はいつも見ている、という方は多いと思います。ただ、その先の参照元/メディアまで開いたことがあるかというと、意外と少ないのではないでしょうか。チャネルという大づかみな単位だけを見ていると、たとえば「Paid Search」という一つの箱の中に、効いている広告と効いていない広告が混ざっていることに気づけません。さらに、その新規ユーザーが最初にどのランディングページに着地したかまで含めて見なければ、「新規ユーザーは増えているのに、成果につながっている気がしない」という状況の本当の原因も見えてきません。この記事では、GA4の「ユーザー獲得(User Acquisition)」レポートを使って、チャネル→参照元/メディア→キャンペーンと粒度を上げていく見方と、「ランディングページ」レポートとの組み合わせ方を整理します。
※本記事内のGA4の画面名称・操作手順は2026年9月時点のものです。GA4は画面や設定項目の仕様が変更されることがあるため、実際の操作時は最新のGA4画面もあわせてご確認ください。
GA4の左メニュー「レポート」の中にある集客系レポートの一つで、新規ユーザーが最初にサイトへ来たときのチャネルを軸に集計するレポートです。関連記事「セッション数が多い=優秀なチャネルとは限らない。流入No.1のDirectの"サクッと離脱"が教えてくれること」で扱った「トラフィック獲得(Traffic Acquisition)」と名前が似ていて混同しやすいのですが、集計の軸がまったく違います。
レポート名 | 集計の軸 | 意味 |
|---|---|---|
ユーザー獲得(User Acquisition) | ユーザーが最初にサイトに来たときのチャネル | 「そのユーザーを最初に連れてきたのはどこか」(最初の接点に固定) |
トラフィック獲得(Traffic Acquisition) | すべてのセッションごとのチャネル | 「毎回の訪問がどこから来たか」(セッションごとに別カウント) |
例:1回目Google検索(organic)→2回目direct、と訪れたユーザーがいた場合、ユーザー獲得ではずっと「Organic Search」扱いですが、トラフィック獲得では1回目organic・2回目directと別々にカウントされます。
主な指標:新規ユーザー数、エンゲージ率、平均エンゲージメント時間、セッションあたりのイベント数、キーイベント数。それぞれの意味は関連記事で解説しているので、そちらもあわせてご覧ください。
使い分けの目安:「新規ユーザーをどこから連れてこられているか」を知りたいならユーザー獲得、「日々のトラフィック全体の中身・質」を知りたいならトラフィック獲得、という切り分けになります。ユーザー獲得は、広告やSEOなど新規獲得施策そのものの評価に向いています。
ユーザー獲得レポートは、「ユーザーの最初の参照元/メディア」にディメンションを切り替えることもできます。チャネル単位だと「Paid Search」で一括りにされてしまう複数の広告や、「Referral」でまとめられる複数の紹介元を、個別に評価できるようになります。
とあるBtoBサイトの架空データで見てみます。
参照元/メディア(最初の接点) | 新規ユーザー数 | リピーター数 | アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間 | セッション数(1アクティブユーザーあたり) |
|---|---|---|---|---|
(direct)/(none) | 5,820 | 690 | 54秒 | 0.91 |
google/cpc | 4,260 | 205 | 38秒 | 0.58 |
google/organic | 3,540 | 780 | 1分09秒 | 0.86 |
partnersite.com/referral(取引先・提携先サイト) | 310 | 88 | 2分31秒 | 1.12 |
line.me/referral | 156 | 74 | 2分48秒 | 1.24 |
bing/organic | 298 | 61 | 1分02秒 | 0.79 |
claude.ai/ai-assistant | 104 | 18 | 58秒 | 0.77 |
この表からは、次のような傾向が読み取れます。
google/cpc:新規ユーザー数は2番目の規模がありながら、リピーター数・平均エンゲージメント時間・セッション数/ユーザーのすべてで他行より明確に見劣りします。「連れてくる力はあるが、その後戻ってこない・使い込まれない」という状態です。配信キーワードの粒度を見直す、除外キーワードを設定する、着地ページを反応の良い別のページに変更してみる、といった対応が次の一手になります
google/organic:新規ユーザー数の規模を保ちながら、リピーター数の比率・エンゲージメント時間もバランス良く、量と質を両立できています
partnersite.com/referral(取引先・提携先サイトからの紹介):母数は小さいものの、エンゲージメント時間・セッション数/ユーザーとも全体トップクラスで、少数精鋭の質の高い接点であることがうかがえます
line.me/referral:母数は最小ですが、リピーター比率(74/156)・エンゲージメント時間・セッション数/ユーザーのすべてで最も高い数字です。LINE公式アカウントのような、既存客・見込み客と直接つながっている経路は、信頼関係がある状態で来ているぶん質が高くなりやすい傾向があります
このデータで特に目を引くのがline.me/referralです。新規ユーザー数だけ見れば全体の1%にも満たない規模ですが、リピーター比率もエンゲージメント時間もセッション数/ユーザーも、他のどの接点より高い数字が出ています。ただし、母数がこれだけ小さいと、一部の突出したユーザーに数字が引っ張られている可能性も否定できません。単発の期間の数字だけで「効果が大きい」と結論づけず、複数期間の推移を見て同じ傾向が続くかを確認した上で、公式アカウント運用のような既存客との継続接点を育てる価値があるかを判断したいところです。
bing/organic:母数はgoogle/cpc(4,260件)よりかなり小さいため断定はできませんが、google/cpcより良好な数字が出ており、検索経由らしい傾向が続いているかを他期間でも確認したいところです
claude.ai/ai-assistant:量はまだ小さいですが、google/cpcよりリピーター比率・エンゲージメント時間とも上回っており、今後の推移を注視する価値があるチャネルです
チャネル単位で見ていたときは「Paid Search」という一つの箱でしたが、参照元/メディアまで下げることで、こうした量と質のねじれが具体的にどの接点で起きているかが見えてきます。もし複数の広告キャンペーンを並行して回しているなら、ここからさらにutm_campaign単位まで掘り下げることで、「量は稼げているが、連れてきて終わりになっているキャンペーン」を特定できます。
GA4のディメンションの一つで、セッション開始時に表示されていたページを指します。セッションの途中で他のページに移動しても、そのセッションのランディングページの値は変わりません。「最初にどのページで受け止めたか」を固定して見るための軸です。
ランディングページを見ることが重要なのは、次の3つの理由からです。
第一印象の測定:表示速度やページの見やすさは、直帰するか他のページも見て回るかに直結します
広告・キャンペーン着地先の検証:広告文やSNS投稿で訴求した内容と、実際の着地ページの内容が合っているかを確認できます
ページ単位のパフォーマンス比較:同じサイト内でも、ページによってユーザーの反応がまったく違うことが分かります
ここまでの2つのレポートは、それぞれ単体でも使えますが、かけ合わせるとより実務的な検証ができます。具体的には、ユーザー獲得レポートのセカンダリディメンションに「ランディングページ」を追加することで、
「どのチャネル経由で獲得した新規ユーザーが、どのページに着地し、その後どれだけキーイベントにつながったか」
が一枚の表で確認できるようになります。これは、次のような場面で役立ちます。
新規キャンペーン用に作ったランディングページが、狙ったチャネル経由の新規ユーザーに対してちゃんと機能しているかの確認
同じチャネルからの新規ユーザーでも、着地したページによってエンゲージ率が大きく違わないかの確認
SEOで特定キーワードを狙って作ったページが、実際に自然検索経由の新規ユーザーの着地先になっているか、着地後の反応は良いかの検証
言葉だけではイメージしづらいので、とあるBtoBサイトのデータ(解説用に作成した例です)で見てみます。あえて同じランディングページに複数のチャネルから着地したケースと、同じチャネルから複数のランディングページに着地したケースを並べています。
新規ユーザーの参照元/メディア | ランディングページ | 新規ユーザー数 | エンゲージ率 | 平均エンゲージメント時間 | キーイベント率 |
|---|---|---|---|---|---|
google/organic | /products/tm-1947sd(商品ページ) | 640 | 64.2% | 1分12秒 | 4.1% |
google/cpc | /products/tm-1947sd(商品ページ) | 210 | 51.0% | 33秒 | 1.8% |
google/cpc | /lp/autumn-campaign(広告専用LP) | 410 | 39.4% | 22秒 | 1.0% |
line.me/referral | /products/tm-1947sd(商品ページ) | 95 | 74.3% | 2分40秒 | 6.9% |
この表からは、2つのねじれが同時に見えてきます。
同じページでも、チャネルが変われば結果が変わる:/products/tm-1947sdという同じ商品ページでも、google/organic経由(エンゲージ率64.2%)とgoogle/cpc経由(51.0%)、さらにline.me経由(74.3%)とで、大きく数字が違います。ページの作りの問題ではなく、そのページに送り込んでいるユーザーの意図の強さの違いがそのまま表れています
同じチャネルでも、着地先が変われば結果が変わる、しかも意外な方向に:同じgoogle/cpc経由なのに、専用に作った/lp/autumn-campaign(エンゲージ率39.4%)より、素の商品ページ/products/tm-1947sd(51.0%)の方が良い数字が出ています。手間をかけて作った広告専用LPの方が成果が低いというのは直感に反しますが、広告文と専用LPの訴求内容がずれている、あるいは専用LPの表示速度やモバイル対応に問題がある可能性を疑うべきサインです
つまり、「このページは良い/悪い」という評価も、「このチャネルは良い/悪い」という評価も、片方だけを見ていると誤った結論に飛びつきやすいということです。今回のケースなら、専用LPを作り直す前に、まずは同じチャネルの流入を素の商品ページに向けたときとの差を確認するのが手堅い進め方です。実際に専用LPが見劣りしているなら、広告の訴求文言とLPの内容が一致しているか、表示速度やモバイル表示に問題がないかを確認し、改善案をA/Bテストで比較する、という流れになります。こうしたかけ合わせの見え方は一度確認して終わりにせず、月次でモニタリングする運用に組み込んでおくと、変化にも早く気づけます。
新規ユーザーの獲得状況を正しく検証するポイントは、次の4つに集約できます。
「新規ユーザーの獲得元」を見たいならユーザー獲得、「日々のトラフィックの中身」を見たいならトラフィック獲得と、目的に応じてレポートを使い分ける
チャネル単位で見えにくい個別の広告・紹介元の差は、参照元/メディア(さらにはキャンペーン)まで掘り下げて確認する
ランディングページは「セッション開始時のページ」に固定される指標なので、広告やキャンペーンの着地先検証にそのまま使える
チャネルとランディングページをかけ合わせて見ることで、「新規ユーザーは獲得できているのに、着地ページで機会損失している」ような、単体では見えない問題に気づける
新規ユーザー数の増減だけを追うのではなく、「その新規ユーザーが、どこに着地して、そこでどう行動したか」まで含めて検証することが、獲得施策を実務に活かす次の一歩になります。
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